ポータブル電源を選ぼうとすると、スペック表にたくさんの数字が出てきます。
Wh、W、定格出力、瞬間最大出力、充電時間、サイクル数、リン酸鉄リチウム、パススルー。
初めて見ると、どこを見ればいいのか迷います。
ただ、車中泊用として選ぶなら、最初に見るべき数字はそれほど多くありません。
この記事では、初心者がポータブル電源を選ぶときに知っておきたい基本を、車中泊の使い方に合わせて整理します。
ポータブル電源選びでまず見るのは、次の3つです。
容量Whは、どれくらい電気をためられるか。
定格出力Wは、どれくらい消費電力の大きい家電を動かせるか。
重量は、車への積み下ろしや置き場所に関わります。
細かい機能を見るのは、この3つで候補を絞ってからでも遅くありません。
Wh(ワットアワー)は、ポータブル電源にためられる電気の量です。
車中泊でいうと、「どのくらい長く使えるか」に関わる数字です。
使う電力量の基本計算は「家電の消費電力W × 使用時間」です。
たとえば、30Wの電気毛布を8時間使う場合、計算上の消費電力量は240Whです。
30W × 8時間 = 240Wh
反対に、使用時間を出したいときは「容量Wh ÷ 消費電力W」で計算します。500Whを30Wで割ると約16.6時間ですが、これは損失を含まない理論上の数字です。
実際には、ACへ変換するときのロス、外気温、ポータブル電源の状態、家電の制御によって変わります。電気毛布は温度設定によって通電と停止を繰り返し、車載冷蔵庫も庫内温度や外気温でコンプレッサーの運転時間が変わります。
計算した消費量と同じ容量を選ばず、翌朝のスマホ充電なども残せる余裕を見ておきます。
W(ワット)は、家電がその時に使う電力を示します。
ポータブル電源側では、定格出力Wとして表示されます。
定格出力が500Wのモデルなら、500Wを超える家電を連続して使う前提にはできません。
たとえば、スマホ充電やLED照明は小さな電力で使えます。
一方で、電気ケトル、ドライヤー、電子レンジ、IH調理器などは消費電力が大きい家電です。
容量が大きくても、定格出力が足りなければ家電は動きません。2台以上を同時につなぐ場合は、それぞれの消費電力を足して判断します。
たとえば、消費電力700Wの電気ケトルと40Wの冷蔵庫が同時に動けば、合計は740Wです。スマホや照明も同時に使うなら、その分も加えます。
商品ページには、定格出力とは別に「瞬間最大出力」「サージ出力」といった数字が載っていることがあります。
これは、モーターを使う機器などが起動するときの一時的な電力に対応するための数字です。大きな数字が書かれていても、その出力で家電を使い続けられるという意味ではありません。
普段使う家電は定格出力で確認し、冷蔵庫など起動時に電力が増える機器は、メーカーが示す対応条件も確認します。
容量Whと定格出力Wは、似ているようで役割が違います。
| 項目 | 意味 | 車中泊で見るポイント |
|---|---|---|
| 容量Wh | 電気をためられる量 | 何時間使えるか |
| 定格出力W | 継続して出せる電力 | どの家電を動かせるか |
容量が500Whでも定格出力が高いモデルはあります。
反対に、容量が1000Whあっても、使いたい家電の消費電力が定格出力を超える場合があります。
「長く使いたい」なら容量を見る。
「消費電力の大きい家電を動かしたい」なら定格出力を見る。
この2つを分けて考えると、「容量は足りるのに家電が動かない」という選び方を避けられます。
家電の消費電力は製品ごとに違います。次の表は容量を計算するための例であり、購入前には手持ちの家電のラベルや説明書を確認してください。
| 使用例 | 計算例 | 計算上の消費量 |
|---|---|---|
| LED照明を5Wで5時間 | 5W × 5時間 | 25Wh |
| 電気毛布を30Wで8時間 | 30W × 8時間 | 240Wh |
| 小型扇風機を10Wで8時間 | 10W × 8時間 | 80Wh |
| 300Wの小型炊飯器を30分 | 300W × 0.5時間 | 150Wh |
たとえば、照明25Wh、電気毛布240Wh、スマホ充電15Whを一晩で使うなら、単純合計は280Whです。
25Wh + 240Wh + 15Wh = 280Wh
ただし、ポータブル電源の表示容量をすべて取り出せるわけではありません。変換ロスや気温の影響を見込み、計算値を上回る容量から候補を探します。
冷蔵庫のように自動で運転と停止を繰り返す機器は、「表示W × 24時間」だけでは実際の消費量を出せません。自宅で一晩動かし、ポータブル電源の残量がどれだけ減るか試せると、次の旅で必要な容量が見えてきます。
用途ごとの最低ラインと余裕を持たせた容量は、車中泊ポータブル電源の用途別おすすめ容量ガイドで整理しています。
ポータブル電源では、電池の種類も確認しておきたいポイントです。
リン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、長寿命を特長とするモデルが増えています。半固体電池を採用する製品もあります。
ただし、電池の名称だけで良し悪しは決まりません。メーカーが示すサイクル数は、試験条件と、その回数を経たあとの残存容量まで確認します。
長寿命でも、本体が重すぎて車へ積まなくなれば車中泊では役立ちません。容量、出力、重量、保証、回収対応まで含めて判断します。
車中泊では、使った電気をどう戻すかも重要です。
主な充電方法は次の3つです。
消費量の少ない1泊なら、自宅で満充電にして出発するだけでまかなえる場合があります。
しかし、連泊する場合や冷蔵庫を24時間動かす場合は、途中でどう充電するかを考えておく必要があります。
家庭用コンセントでは「満充電まで何時間か」、車では「1時間の走行で何Wh戻せるか」を見ると、旅程に当てはめられます。
シガーソケット充電は、家庭用コンセントより入力が小さい製品もあります。専用の走行充電器を使う方式とは分けて確認してください。ソーラー充電は天候、季節、影、設置角度で発電量が変わるため、公称値どおりに充電できる前提にはしません。
スペックだけを見ると、大容量モデルほど頼もしく見えます。
しかし、容量が大きくなるほど本体は重くなり、車内スペースも使います。
10kgを超えると、毎回の積み下ろしが負担になる人もいます。
20kg前後になると、気軽に持ち運ぶというより、車内に置いて使う装備に近くなります。
購入前には、車内のどこに置くかを決めておきましょう。
寝る場所を圧迫しないか、ケーブルが通路に出ないか、走行中に動かないかも確認します。使用中は、吸排気口を寝具や荷物でふさがない置き方が必要です。
初めてポータブル電源を選ぶなら、次の順番で考えます。
最初から商品名を並べるのではなく、自分の使い方から逆算します。
そうすれば、照明と電気毛布を使ったら朝まで残量が持たなかった、ケトルを入れた瞬間に出力が止まった、といった購入後の食い違いを減らせます。
車中泊用ポータブル電源の選び方は、難しく見えても基本はシンプルです。
容量Whは、どれくらい長く使えるか。
定格出力Wは、どんな家電を動かせるか。複数台なら合計で見る。
重量は、車中泊で無理なく扱えるか。
この3つを先に見ると、候補を大きく絞れます。
基本の数字がわかったら、次は実際に商品を比べるときのチェックポイントを確認しましょう。
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